場の医学と野口整体

  

ストレスと生活習慣病

2018年 8月08日

生活習慣病に対する誤解

 多くの病気が慢性炎症の結果であることは、認められるようになってきました。そのような結果が多数報告されているからです。
 しかし、依然として生活習慣病などは、長年の誤った生活習慣(食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、不規則な生活など)が主原因と考えられています。体に過剰なストレスを与え続けた結果が生活習慣病というわけです。その考え方が間違っているとは思いませんが、本質が抜け落ちている感じが否めません。
 多くの人を調整してきた経験に基づきますと、生活習慣病に至る最大の要因は精神的ストレスであると言わざるを得ません。これらの病に悩まされている人は、ほぼ例外なく強い精神的ストレスに悩まされてる(もしくは過去に悩まされてきた)ように思えたからです。
 食べ過ぎ、飲み過ぎ、不規則な生活などは、生活習慣病賞の要因ではあっても致命的な要因ではなく、むしろ、精神的ストレスが、食べ過ぎ、飲み過ぎなどを招いている側面があるように思います。

生活習慣病は基本的に内臓劣化と関係がある

 当然ですが、生活習慣病は臓器の劣化と深い関係があります
 例えば、脂質異常症(高脂血症)、U型糖尿病、肥満は、少なくとも肝臓の劣化と関係があります。
 また、高血圧症は、腎臓、副腎、血管などと関係があります。
 一般に、多くの生活習慣病は、肝臓、腎臓、副腎、血管の機能低下と関係しているように思います。
 従って、臓器の機能低下が精神的ストレスによるところが大きいとすれば、生活習慣病は慢性的な精神的ストレスの結果と考えられます。
 以下に幾つかの例について説明します。

高血圧症

 日本では高血圧の判定は、上が140以上、下が90以上になっていますが、実際問題として、動脈硬化が進んでいる人でなければ、180位まではあまり心配する必要はないと思います。血圧180で血管がおかしくなることは考えにくいからです。日本の高血圧の判定基準には、医学的視点以外の要素が入っているように感じます。
 基本的に、高血圧の判断は

  、年齢 + 100(or 110)

 で良いだろうと思います。
 例えば、70歳の方であれば、170(あるいは180)以上が高血圧、150以上170(180)未満は要注意の状態です。
 血圧が高いことは問題といえば問題ですが、降圧剤で血圧を下げることは、血流を下げることになるので、免疫力を低下させます。これが大きな問題なのです。実際、幾つかの調査では、薬で血圧を下げるより、高血圧のままの方が、平均的に長生きする結果が出ています。降圧剤を使うと様々な病気で亡くなる確率が高くなるようです。

 原因が分かる高血圧を二次性高血圧と言います。このような高血圧として、腎性高血圧、内分泌性高血圧、心血管性高血圧、神経性高血圧などがありますが、二次性高血圧の多くは腎性高血圧です
 一方、高血圧症の大部分を占める、原因が分からない高血圧を本態性高血圧と言います(二次性高血圧は高血圧症全体の1割以下に過ぎません)。

 二次的高血圧の原因は、腎臓、副腎、血管などの異常ですが、これらの臓器が悪くなる主な理由は、前回説明しましたように精神的ストレスです。同様に、本態性高血圧の原因も精神的ストレスと考えて良いでしょう。
 例えば、緊張型の精神的ストレスが持続すると、末梢血管の収縮で血流が悪くなって血圧が上がります。この種の高血圧の人は、胸椎8番が飛び出しているのが特徴です(胸椎8番を元に戻すと血圧が下がります)。
 また、緊張型ストレスは、副腎皮質ホルモンの過剰分泌による高血圧を誘発します。

動脈硬化

 動脈硬化は高血圧など様々な病気の原因になりますが、危険な動脈硬化になる原因は精神的ストレスです
 動脈硬化になった血管は、血管壁にコレステロールがたまり、血液が流れにくくなります。また血管の弾力も低下しています。さらに酷くなると血栓(けっせん)(血のかたまり)ができて血管を塞(ふさ)ぎ始めます。血栓は最終的に血管を完全に塞いでしまいます。

 血栓は、傷のある処、つまり、炎症部位にできますが、炎症は精神的ストレスによって発生します。従って、少なくとも動脈硬化の悪化は精神的ストレスが原因です。また、コレステロールなどが貯まる大きな原因は肝臓の機能低下であり、慢性ストレスが元と考えられます。

 動脈硬化は、脳血管の病気や心臓の病気を招く可能性がありますが、脳や心臓は、精神的ストレスの影響を特に強く受けます。従って、強い精神的ストレスが生じると、血栓を生じて心筋こうそくや脳こうそくなどになる危険性が大きくなります。また、怒りなどの強い精神的ストレスは、血圧を急激に上げます。
 従って、動脈硬化を起こしている血管は、血圧に耐えきれずに出血して、脳出血などを起こす危険性があります。
 基本的に、血圧が180位までは問題はありませんが、高齢者の場合、血圧が200を超えると危険です。怒りで血圧が240を超えると脳こうそくや心筋こうそくを起こす危険性が高くなります。

糖尿病

 日本人に多いU型糖尿病は、基本的に高血糖が持続することで発症します。血糖値が高くなる理由として、糖質やアルコールの摂り過ぎが考えられますので、日頃から少食(糖質控えめ)にしていれば糖尿病の危険性は大幅に下がります。しかし、過飲食以外に血糖値を上げる要因として精神的ストレスがあります。緊張ストレスは、血糖値を高い状態に保ちます。従って、精神的ストレスは、糖尿病と深く関わっています。

 交感神経過緊張状態は、エネルギーを大幅に消費する体制を維持する状態なので、肝臓でエネルギーの源であるブドウ糖の産生を活発化します。従って、血中のブドウ糖濃度が上がり、血糖値が上がります。
 そのため、緊張型の慢性ストレスがあると高血糖の状態が続き、糖尿病になる危険性が高くなります

関節リュウマチ

 関節リュウマチは、免役細胞が自己(の細胞)を認識できなくなって、関節を攻撃する自己免疫疾患であり、発症者の八割以上が女性という、罹患率(りかんりつ)において男女差の大きい(原因不明の)難病です。

 この関節リウマチも、精神的ストレスが主な原因だろうと考えています。筆者が関わった関節リウマチの人たちは、大変ストレスをためやすい性格もしくは環境にあると考えられたからです。また、強い精神的ストレスが関節リウマチの症状を悪化させることも、ストレスが関節リウマチの原因と考える理由の一つです。従って、慢性ストレスを解消することは、関節リュウマチの改善に不可欠です
。  ホルモン異常が関節リウマチの原因と考えられることがありますが、ホルモン異常の主因は、医療過誤などを除けば基本的に精神的ストレスです。

がん

 がんはとてもよく知られた病気ですが、一方で恐ろしさだけが強調されてその本質が理解されていません。
 かって、慶大医学部の教授がテレビで以下のように言っていました。
 「たばこを大量に吸っていても肺がんにならない人もいれば、たばこを全く吸わなくとも肺がんになる人もいる。要するに、がんになるならないは運次第ですよ。」
 今でもこのように考える専門家がいるかもしれませんが、とんでもない勘違いだと言わざるを得ません。
 がんはなるべくしてなるのです。決して偶然になる病気ではありません

 そして、がんになる決定的要因が慢性ストレスです

 多くの人は、がんが遺伝子の異常で生じることをご存じでしょうが、がんになる理由を理解している人は、ほとんどいないだろうと思います。つまり、がん細胞の発生は遺伝子異常が原因ですが、(臨床的な)がんは局部的な免疫力低下が原因です
 体は、がん細胞の発生自体を防ぐ機構を持っていますが、ヒトには六十兆個ほどの細胞があるので、毎日数千個以上のがん細胞が発生することは、残念ながら防げません。しかし、がん細胞が多数発生しても、私達の体には免疫機構があるので、発生したがん細胞は免役細胞によって抹殺されます。
 言い換えれば、免疫力が正常であれば、私たちはがんにはなりません

 しかし、慢性ストレスなどで血液循環の良くない部位があれば、その領域では血流が悪いので、免疫力が下がっています。そのような処でがん細胞が発生すれば(実際、炎症部位でがん細胞は多発します)、がん細胞を攻撃する免疫力が低下しているわけですから、がん細胞は死滅せずに増殖する可能性が高くなります。

 1つのがん細胞が1cm程の大きさになるのに、普通九年から十五年は必要ですが、がんの増殖速度は、免疫力の強さに依存するので、精神的ストレスの大きさに強く依存します。例えば、非常に強いストレスに悩まされていると、X線では確認できなかった胃や大腸のがん細胞が、一年以内に1cm以上の大きさになっていることがあります。

 一般に、私達は、ある程度の精神的ストレスから逃れることは出来ません。そのため、大体40歳を過ぎると、多くの人には、各内蔵には微少ながん(ミリがん、マイクロがん)が多数出来ています。
 精神的ストレスが続いても同じストレスが長期に続くことや強烈なストレスに襲われることはあまりないと思いますので、これらの微少がんが発達することはありません(その部位の免疫力が回復して増殖を抑えます)。
 しかし、極めて強いストレスに悩まされるか、強い慢性ストレスを抱えた人は、1cm以上の大きさまでがんを増殖させて、悲劇を招きます。

 精神的ストレスががんの主原因であることは、やがて医学の常識になるだろうと考えています。
 私たちががんになる本当の理由を理解することは、とても重要です。私達ががんになる理由を理解することによって、多くの悲劇を防ぐことができるからです。
 残念ながら、(強い慢性ストレスによって長い年月をかけて大きくなる)がんに対して、西洋医学は私達に「がんは突然襲ってくる恐ろしい病気」という認識を与えています。そして、しばしば、悲劇が繰り返されています。
 しかし、本来、がんは防げる病気であり、また治せる病気なのです

トルーレイキ療法